2005年1月  伊豆弓ヶ浜 P-camp

 冬の弓ヶ浜にふと行きたくなった。伊豆半島全域から富士山北麓の御殿場市、小山町までをテリトリーとする職場にいたとき、仕事の途中に何回か立ち寄ったことはあったが、それも冬の季節は無かった。

 弓ヶ浜の駐車場で一泊、何カ所かある西伊豆町営温泉の駐車場でで一泊する大まかな計画で出発。行きは天城湯ヶ島の船原峠越えで西伊豆海岸沿いに走るルートを取った。冬型の気圧配置が強まるとの予報に反して、海は穏やかで季節風も吹いていない。車重2.6tの車で船原峠の登坂と、急カーブ続く下りで後続車に迷惑をかけることになるが、交通量も少なく登りで一度待避ゾーンに入り後続車に道を譲っただけで土肥の町へ下りきった。

 松崎にあるYaohanで食料を仕入れ、岩地、雲見、波勝へと急カーブの連続する道は昔と変わらない。松崎を過ぎてか最初に目に入る集落は岩地地区である。岩地は斉藤姓が多い。趣味のアマチュア無線で岩地港を母港とする鰹一本釣り船で、暇な時間にアマチュア無線機器で交信を楽しんでいる斉藤さんという無線長の方がいた。小笠原諸島からマーシャル群島方面にいる同船と私も交信の相手をして頂いていた。この無線長さんの家が民宿をやっており何回か宿泊したこともあった。

 海の男達にとって板子一枚下は地獄というのは本当だと思わされる悲劇が突如テレビのニュースから流れたのは今から27、8年前だった。漁を終わり下田港へ向かっていた鰹船が、神子元島沖で低気圧の通過に伴う高波で転覆沈没したとアナウンサーが告げるその船名は紛れもなく斉藤さんが乗船する鰹漁船の名前だった。乗組員の何人かは救助されたとの報に斉藤さんも助かっていて欲しいと願っていたが、ついにその名前が救助された人々の中には現れなかった。

 転覆する直前まで遭難信号を出し続けていたと後の報で知ったとき、そのために船を離れるのが遅れ、船もろとも海中に消えた斉藤さんの姿を想像し涙を禁じ得なかった。いつも岩地の集落を石廊崎方向に走りながら国道から見下ろすとき、この斉藤さんの民宿が真正面になり、心の中で合掌すると同時に斉藤さんの船が焼津港に入港したとき頂いた新鮮この上ない鰹の味を思い出す。

 弓ヶ浜の無料駐車場は浜を挟んで東西2カ所ある。東側は国民宿舎の駐車場や建物に隣接し民家や土産物屋が多くどちらかと言えばにぎやかである。到着時はこの駐車場に入った。浜で犬を散歩させぶらぶらしてから車内から駐車場を出入りする車をぼんやり眺めているとダッジバンタイプの車が入ってきた。同類かと気にもとめずしばらくうたた寝をした。目をさますと妻が同じナンバーの車がいて珍しいことがあるものだと言ってきた。以前乗っていた車の4741、4674と同じナンバーを目撃していたことがあったためさして珍しいこととも感じず聞き流していたが、外へ出たついでに確認すると所在地表示が違うだけで他は全て同じであるナンバーが目に入ってきた。車内を覗くと柴犬が寝ており、以前の目撃体験では車種が異なっていたが、今回は偶然とはいえ確立を計算したくなるくらいの一致であり、これは記録しなければならないと即座にデジカメをとりに車に戻った。
 トイレから戻った妻が「とてもじゃないが用を足せる状態じゃない」と言い出した。女性、男性トイレとも台風22号による被害で使用不可と表示され扉が施錠され、唯一使える身障者用トイレが汚し放題だと言う。
 ならばと隣の車の方と話をしたい思いもあったが、西側の駐車場に移動した。こちらの駐車場へ至る道を挟んだトイレは水洗で男女ともまぁまぁ綺麗で使用可能。浜沿いに直進して来れば駐車場、大きく右にカーブすれば弓ヶ浜西側で唯一のホテル「季一遊」の駐車場入り口を過ぎて弓ヶ浜港で行き止まりになるため車の出入りは少ない。駐車場所を決め東側の駐車場からは岬の陰に隠れて見えなかった神子元島を沖合に望み手を合わせた。

 犬は何処に行こうが、食い物と散歩以外のことは考えていない。車の中に入れていても人が外へ出れば自分も一緒に連れて行ってもらえるものと思っている。
 トイレに行くついでに弓沢港に停泊している船を見に行く。防波堤に囲まれた港らしい港と青野川河口両岸を係留場所とする港が一体になっている弓ヶ浜港には伊豆七島への遠征釣りを行う大型の遊漁船から10t程度の遊漁船、大型のダイビング専用船などが係留されマリンレジャーの基地のような様相を呈している。
 青野川側では岸壁から釣りをしている人が2人、釣果はハゼとワタリガニだった。
 車内で鍋物の夕食、前夜の飲み会の影響が少々残っている胃袋には、アルコール度数0.5%以下のビールテイスト飲料500ml一本のみで満足。バッテリー節約のためFFヒーターを使用せず20時就寝。
 前日とはうってかわって季一遊ホテル駐車場との間を隔てる松林が風に騒ぎ、車が揺れる朝8時半起床。明け方はさすがに寒くシュラフの中の足先が冷たかった。FFヒータのスイッチを入れキャンプでは何時も同じパンの朝食。強風など意に関せずの犬を仕方なしに外へ連れ出せば風にあおられる髪の毛は総立ちになり、松林の中から砂が吹き出されて口に飛び込む状況に駐車場を一周して車内に逃げ込んだ。
 この状況では西伊豆町ではもっと風が強いだろうと推測。妻にどの道を通るか聞けば来た道を行くのも面白くないと南伊豆町営温泉銀の湯会館で温泉を楽しんだ後、県道119号で一条たけのこ村を経由し下田駅西側で136号線に入りすぐ同駅前から414号線で河津町に至るルートを辿った。このルートでは下田市箕作地先で県道15号線に入り松崎町へ至り、西伊豆町向かうことが可能だが、妻と相談した結果このまま帰宅し三連休の最終日は家でのんびりしようと計画を変更し帰宅することに決定し、三連休にしてはさほど混雑していない中15時には自宅に帰着した。

 【経費】 燃料:満タン46.75g¥4067(消費量はメーターで1/4強)、食材¥4000(2泊3日分、使ったのは夕、朝、昼の3食分で残りは帰着後の朝食、夕食になった)
       実質経費は燃料・食費合わせて4000円程度と推測。

 追記:熊谷ナンバーのキャンピングオーナー様へ
     勝手に撮影し掲載していますがご迷惑であればご面倒で申し訳ありませんがご一報下さい。