伊豆修善寺の紅葉と河津バガテル公園のバラ

2005.11

 

 修善寺の虹の郷に隣接する自然公園の紅葉が見頃を迎えたとローカルTVニュースが伝えていた。去年まではそんなに多く報道されなかったはずだが今年はやけに取り上げる機会が多くなった。
桜の春も良いが、錦秋もまた趣がある。どちらかと言えば紅葉の方が日本人の心にあっているかも知れない。
 今年の紅葉は暖冬のせいか鮮やかさに欠けると各地の紅葉便りが伝えている。現に私の勤務する敷地内の紅葉も全部が色づく前に霜がやってきて、一部が枯れ葉になってしまった。
  伊豆の紅葉は遅い紅葉で売り出し中で、虹の郷ではライトアップなどで誘客している。が、ここは入場料を取られる。一方の自然林公園は無料である。本数は昇仙峡や、足助に大幅に劣るが美しさはひけをとらないと思う。

 11月も終盤の土、日に温かい伊豆の旅を楽しもうと思い立ち、木曜日の夜に計画を妻に伝えた。目的地は修善寺の紅葉と、河津のバガテル公園の秋バラ、それに温泉。伊豆西海岸の入り口になる414号線は忘年会シーズンを迎える前のこの時期はさほど混雑しない。渋滞が想定されるときは沼津御用邸公園南から防潮堤沿いの脇道に逸れるが、その必要もなく順調に車は流れている。
 道中の所々から見える海は波もなく穏やかで、画に描いたような小春日和に心も和む。修善寺には正午前に到着。通常時の駐車場はバス専用になり、小型車は梅園の駐車場を利用するようになっている。ここからだと紅葉林まで約300mほど歩かなければならない。すでに満杯に近い状態の駐車場最奥になんとか入ることが出来た。駐車料金300円也。

 紅葉林には車で来た坂道の歩道を下るか、駐車場とほぼ同じ標高の梅園方向へ行き、途中から梅林入り口に下る急な遊歩道を行く二つのルートがある。今回は遊歩道経由の道を辿って紅葉林へ向かった。ときおり虹の郷にある機関車の汽笛が聞こえる自然の趣タップリ残る林の中の落ち葉の積もる道を歩くのも楽しい。

    

 紅葉林入り口にあるバス専用駐車場は入れないバスが待機するほどの混雑状態。遊歩道入り口に店が3軒。緩やかな坂道を奥に進むに従色も鮮やかなモミジが多くなる。
 中央の遊歩道は写真を撮る人々が立ち止まるため所々で渋滞し、遊歩道をはずれた空き地には弁当を広げる家族連れや、中年女性グループもいる。
 紅葉林は桜の下よりも静かである。桜のように放歌高吟を誘発する趣ではないのが一つの理由と思う。織りなす錦が日本人の心の奥に沈んでいるわびさびの境地を浮かび上がらせるのだろうか。
 飛躍した言い方をすれば桜は「生」を、紅葉は「死」を日本人の心に思い起こさせるのかも知れない。私自身も紅葉を見て、来春の芽吹き、新緑、夏の樹陰まで思いは巡らない。紅葉で思うのは葉が落ちた後、葉のない枝を天空に伸ばしている姿を思うだけである。
 以下は私の愛唱する童謡である。
 真っ赤な秋 薩摩 忠 作詞、小林秀雄 作曲
 まっかだな まっかだな つたの葉っぱが まっかだな もみじの葉っぱも まっかだな 沈む夕日に 照らされて まっかなほっペたの 君と僕 まっかな秋に かこまれている 
 まっかだな まっかだな からすうりって まっかだな とんぼの背中も まっかだな 夕焼け雲を 指さして まっかなほっペたの 君と僕 まっかな秋 に呼びかけている
 まっかだな まっかだな ひがん花って まっかだな 遠くのたき火も まっかだな お宮の鳥居を くぐりぬけ まっかなほっペたの 君と僕 まっかな秋を たずねてまわる

 
  修善寺を後にして河津へ向かう。途中道の駅天城越えの駐車場に入り焼きそばの昼食を作る。この駐車場に続く昭和の森も紅葉が美しいところである。駐車場南側から大川端キャンプ場まで遊歩道が整備され渓流沿いの散歩が楽しめる。この道の駅は休日はいつも車が多いが、売店から離れている北側のスペースは空いており、図体の大きいキャンカーを入れるのはこちらが適している。

  河津バガテル公園は日本語の発音からすると芳しい響きを持っていないが、フランス語では小さくて愛らしいものという意味があるようで、同公園はパリ市やバガテル公園協会の全面的な協力のもと、パリバガテル公園のローズガーデンを忠実に再現しているとのことである。 秋バラのシーズンも終わりの頃で、咲くバラには期待していないまま入場料大人1人1,000円だが、HPにあった100円割引クーポンを印刷し持参した。
 園内は想像したとおり咲いているバラは少なく、咲いていても鮮やかさは失われていた。

 数あるバラの中に妻の名前が付いたものを見つけ、入り口の広場の売店で苗があるか聞いたが残念ながら無いとのことであった。

 園内で、そのバラは花をつけておらず、どんな花かせめて教えて欲しいと頼んだが「図鑑に載っていないので判らない」と言われた。

 バラを売り物にした公園、その公園内のバラの苗の売店が園内に咲くバラを知らないとは・・・・・。お得な昼食バイキング2780円とでかでかと書かれた看板があったが、所詮は観光客の懐だけがターゲットかと思わざるを得なかった。また、この時期咲くバラが少なければ入場料を下げる配慮もあって然るべきではないかと思うことしきりであった。 
 
 ただ一つありがたかったのは同行している犬の園内立ち入りがリード装着と汚物袋を持参すればOKだったことである。

 バラ公園を後にしたのは16時頃だった。P泊地に目論んでいたのは同町にある踊り子温泉会館駐車場。

 まずは3時間、1,000円也と高めの入浴料を払い汗を流す。ジャグジー、内湯、露天と1,000円の元を取るべく入ったり来たりの奮闘も、のぼせそうになり中断。
 会館前の駐車場は夜間閉鎖されるため、進入路奥に5台だけ入れる駐車スペースに車を入れる。通常ここは会館従業員が車を止めているようだが、一般車両駐車禁止の表示は何処にもない。国道から会館へ入ってすぐの右側に「時盛」というそば店があるが、お奨めの一店である。この店の前から会館へ向かって広い駐車スペースがあるが、そば店の駐車スペースにもなっているようで、P泊は店が閉まってからが無難である。

【写真】左が温泉会館、手前右のカーブを描く白線内側がそば店「時盛」の店前に続く駐車スペース。キャンカーの奥は河津桜が続く河津川堤に続いている。温泉会館Pは左に曲がる。夜間は左に曲がってすぐの所でチェーンにより閉鎖される。

 夕食はおでん、市販の暖めるだけのおでんに具をたし、粉末おでんの素もたす。この駐車場のありがたさは歩いて100mに満たないところに酒店併設のコンビニがあることである。アルコールは勿論ここで調達。5インチの液晶TVで大相撲観戦を楽しみながら食し、飲む。

 温泉のポカポカにアルコールは睡魔を誘引し、20時にはシュラフにもぐり込む。実を言うと早寝する理由は他にもある。夜半小用に起きると同行している犬が、散歩に連れて行って貰うことができると勘違いして必ず騒ぎだし、結局は深夜の散歩をする羽目になるためである。
 同夜も恒例の散歩をすることになったが、車に戻りドアを開ける前、ふと仰いだ空にオリオン座が輝き、家では見ることが出来ない沢山の星々の瞬きに息をのみ、今度は早く車に戻れと催促する犬を無視して首が痛くなるまで見とれていた。

 翌朝8時30分起床。ここでも犬は散歩に連れて行けとばたばたし出したため、駐車場に続く地元の方とおぼしき人々も三々五々散歩している河津川堤をしばらく歩く。すれ違う方、追い越していく方皆さん「おはようございます」の挨拶が心地よい。
 駐車場から200m程下流に歩いたところに「峰温泉豊泉の足湯」があった。早速車に戻り妻を誘い出し、再び堤を歩む。この河津にはバガテル公園と共にこの河畔を写すライブカメラがあり、旅から戻っても思い出を楽しむことを助けてくれる。足湯の隣には管理が行き届いた綺麗なトイレもあり、足湯のある東屋にはストッキングを脱ぐための更衣室も整備されゆっくりと楽しめる環境が整っている。

 しっかりと花芽がついた河津桜は、今は桜紅葉を楽しめ、吹く風も温かい足湯に葉が舞い落ちのんびり、ゆったりの足湯の風情を一層高めていた。


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