「このままでは先がない…」

元請企業があるからこそ経営が成り立っている共存関係ではありながらも、1、2社の元請企業に依存せざるを得ない経営状況の危うさや、価格交渉力の無さ、コントロールできない受注量、応じざるを得ない納期へのプレッシャー…に課題を抱え、

「このままでは先がない…」そう悩みながらも、打開策を見出せていない企業の方は多いのではないでしょうか?

昨今の市場縮小と共にそこに存在している課題は根深く、同じように、元請依存に課題を抱えていた中、あることをきっかけに元請け依存から脱することができたものづくり企業があります。

その企業とは、金型部門を主力に、プラス・板金、治工具・設備、開発・設計などの部門展開で一貫生産体制に強みを持つ株式会社ニットー(本社:横浜市)です。

国内どころか、元請とする県内企業との取引のみであることから、このままではいけない…とかねてから課題を感じていたといいます。

たった一つの「ものづくり」をきっかけに、横浜のものづくり企業が、世界のものづくり企業へ

そんな時、代表である藤澤さんが作ったあるものが、同社を世界のニットーに生まれ変わらせました。

そのあるものとは、何を言っているのか?と驚くかもしれませんが、ヌンチャクのように振り回して楽しむ『**無駄にかっこいいヌンチャク系iPhoneケース「Trick Cover(トリックカバー)』**です。

↓ ↓ ↓

ニットーは、創業依頼、BtoBに対してプレス金型の設計製作をメインに事業展開してきた企業です。突然、社長がiPhoneケースを作り始めたことで、社内では、「社長がおかしなことを始めた」「うちの会社も危なくなってきたのかもしれない…」「そんなことして何になるのか?」などなど、賛成の声は全く聞かれなかったそうです。

ですが、これまで培ってきた技術と、一貫生産可能という自社の強みを余すことなく活かして製造したiPhoneケースをクラウドファンディングに出したところ….

国内のSNSにとどまらず、世界中に拡散されたことをきっかけにニットーの技術力、開発力の高さが知られることとなり、さまざまな企業との新規取引へと発展。今や世界43ヵ国と取引し、業績3倍へと成長しています。

ですが、この話は、SNSでバズって成功!という話ではなく、まだ続きの話があるんです。

それは、どんなことかというと、、、

その技術、強みの価値は何か?

同社が、この転機を機会に手に入れたものは、ただ単にSNSでバズって話題になった。というような一時だけしか通用しないものではありませんでした。

同社が手に入れたもの。それは、**自社の技術・強みの価値と何か?**この問いを手に入れたことにあります。

これまでは、技術を磨き発注を受けた仕事を納めてきた中で、自社の技術と強みを活かしてiPhoneケースを作って世界の反響をみたことで**、自分たちの技術と強みは「誰」に対して使うかで、その価値が変わること。**

そして、これまでなかった新しい価値を創り出すことができることを発見されたのです。

そして、同社はこの発見によって日本だけでなく、世界人口の約 7.5%、約 5 億 7,700 万人が悩み続けている「腰痛」の原因の一つである「立ち仕事」に対して、自社技術と強みの新しい価値を作り出しました。

その事業とは、「アルケリス」という、身体への負荷を軽減する、アシストスーツと呼ばれる分野の事業です。

同社はこれによって下請けではく高収益の自社製品を、トヨタ、ダイハツ、ダイワハウス、三菱ケミカル、味の素、住友重機工業、などなど、大手上場企業へと次々に導入することに成功し、更なる開発と事業拡大に挑戦されています。

〜今日のポイント〜

  • 自社の価値は技術・強みの先にあり。
  • 自社の技術・強みの価値とは何か?再考するところに機会あり。
  • その技術・強みをこれまでとは違う対象=「誰」と組み合わせるとどのような価値があるか?

PS

間も無く公開の、月刊「社会課題と新規事業」6月号では、同社がどのように、高収益・高成長企業へと転身していったのか?そして、その他のものづくり企業の方たちとの協業可能性などなど…詳細をお聞きしているので、興味のある方はぜひこの機会にご購読をお試しください。

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投稿者プロフィール

深井宣光
深井宣光
月刊『社会課題と新規事業』オープンイノベーションナビゲーター

一般社団法人SDGs支援機構 事務局長/経済産業省関東経済産業局のベンチャー支援事業サポーター/東京都スタートアップ支援事業「NexsTokyo」メンター/JーStuartup WESTサポーター等を務める。

社会課題をビジネスで解決する仕組みと成功法則の調査・研究者。各種メディア、企業でのSDGs/サステナブル企画の、企画・監修のほか、講演、執筆、社会課題解決型のスタートアップのメンタリングなど多岐に渡って活動。NHK WORLD JAPAN「未来計画Q」公式サポーティングパートナー、フジテレビ「チャギントンSDGs」シリーズの他、日本テレビ「ZIP!」、テレビ東京「秒でNEWS180」「美しき捨て方」等、各局のTV番組等を監修及び出演。Googleが世界規模で推進する「Humans of YouTube」にて、社会的・文化的・経済的に有意義な影響を与えた日本を代表する100人の一人に選出。著書に「小学生からのSDGs」(KADOKAWA)。「SDGsビジネスモデル図鑑・社会課題はビジネスチャンス」(KADOKAWA)がある

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