2024年6月、神戸に新しく『神戸須磨シーワールド』という水族館が開園。初年度200万人の動員を見込みオープンしたところ、わずか2ヶ月で約43万人が来場するなど、少し前大きな話題になりました。

元々この水族館は、1957年に開園した神戸市立須磨水族館でしたが、60年以上の歴史を経て老朽化していました。今回、「グランビスタ ホテル&リゾート」が運営を引き継ぎ、大規模リニューアルを実施。

『神戸須磨シーワールド』では、西日本で唯一となるシャチの展示や、イルカショーのような形でシャチのパフォーマンスが見れるオルカショー、さらにシャチを見ながら食事ができるレストランに、イルカと一緒に泳ぐことも可能なスペースに、ホテルも併設されています。

そんな『神戸須磨シーワールド』、水族館だけで270億円、公園全体では370億円以上の巨額の投資を受けてリニューアル。

水族館のリニューアルといえば、数年前、新たにクラゲをメインにしたサンシャイン水族館も思い浮かびますが、サンシャイン水族館でもリニューアルのための予算は30億円以上。

何億、何十億と投資できるお金でリニューアルできるのは羨ましい話ですが、実は巨額の投資を行わず、見せ方を変えて業績を回復させた水族館があります。

それは、山形県内唯一の水族館『加茂水族館』です。実は以前似たような話で、中身についてどころか、タイトルすら出さずにヒットした事例があります。それは、文庫X。

1億超えの借金状態から、世界一になった水族館

今となってはクラゲの展示種類数世界一として、ギネス世界記録に認定されていた『加茂水族館』ですが、実はクラゲ展示を行う前は存続が危ぶまれる状態、それも、雨漏りすら直せない状態だったそうです。

周辺の観光開発の失敗により、『加茂水族館』の売上は、他の赤字施設の補填に使われ、さらにその後、他の施設の借金を肩代わりすることになり、その金額1億1千200万円。

雨漏りすら直せず、施設は古くなり、来場者も右肩下がり。そのため1971年には一度閉鎖に。ですがその中でも、当時の館長だった村上氏が、住居を担保にし、生き物の餌代を工面し、飼育を続けたことで市民からの寄付が集まり、翌年には再開館。

その後、東京のとある会社が経営に携わるも、結局は低迷からの脱却には至らず、1997年の来場者は史上最低…。

ですがその年に企画したサンゴの展示水槽から、クラゲが誕生し、餌を与えてみたら、クラゲがみるみる成長。どうせなら展示したらと展示するとお客さんから好反応。

さらにクラゲの展示数を増やし、クラゲの展示方法など見せ方を変えたところ、来場者が右肩上がりに回復しだし、加茂水族館の業績は回復。クラゲの展示数でギネス記録に登録、世界一になり、入館者数もどん底時の2.4倍に増加しました。

そしてさらにオープン当初の賑わいを越えて、45年ぶりに来場者数が過去最高を記録するまでに回復したそうです。

水族館の花形といえば、イルカショーやオルカショーなどのショーであり、ショーが行えなければ、水族館の経営を軌道に乗せるのは難しいともいわれています。

そんな中、加茂水族館は、借金が1億円以上もあり、存続自体危ぶまれていた状態からでも、クラゲの見せ方を変えることで業績を回復させました。

新しく商品やサービスをリニューアルしたり、新商品の開発や、目玉商品を作らずとも、売上や業績を回復させ、右肩上がりの成長が実現できる。

ぜひ一度自社でも、商品やサービスの見せ方を検討してみてもいいかもしれないですね。

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