価値づくり日本

こんにちは 深井です。

今日は、「うちの市場はもう飽和している…」とお悩みの方には、特にご覧頂きたい事例に、独自のマーケティング分析を加え、その戦略をあなたの武器としてお届け致します!

こんにちは 深井です。

少し前のことですが、クライアント企業の担当者さんから、あるご相談をいただきました。

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「市場が頭打ちで、売上が思うように伸びない」というのは、よくある悩みのひとつ。

ですがそんな中でも、老舗の卸小売業である、ある会社が、「新市場創造」の力で大手との競争を避けながら成長することに成功した事例があるんです。

その企業とは、明治17年創業の日本酒卸会社である、株式会社岡永(東京都中央区)。

同社はなんと、既存の日本酒市場の中に「地酒市場」という新しい市場を作り上げ、全国的に地酒を広めるという快挙を成し遂げた張本人なんです。

地酒市場がこのように生まれたということ自体、初めて知る方の方が多いんじゃないでしょうか?

それでは、一体どのようにして同社は独自の「地酒市場」を作り、今も成長を続けているのか。その具体的な戦略を5つのポイントで解説します。


◆1. 新しい市場を創る力:「地酒市場」という独自のポジションを支えるネットワーク

戦後の高度成長期、「良質の日本酒」が市場から消え去ろうとしていた時代、岡永は「ほんものの美味しい日本酒を愛飲家に届けよう」と考え、1975年(昭和50年)に『日本名門酒会』を発足させました。

消費に翳りが見え始めていた民族の酒・日本酒復興を目標に掲げ、流通のあり方を見直し変えていく必要性、蔵元・酒販店・消費者を繋ぐしくみや啓蒙を含めた様々な活動への取組み、そして日本酒市場のなかに地酒市場という新しいマーケットを創造しました。(引用:株式会社岡永HP)

同社は1975年、地元の蔵元(酒造りをする人)や全国の酒販店とともに「日本名門酒会」を立ち上げ、地酒を全国へ広める取り組みをスタート。

当時の日本酒市場は大手銘柄が中心で、消費者の選択肢が少なかったのです。しかし岡永社は「地域の伝統と味を届ける地酒」に着目し、新たに「地酒市場」を作り出しました。消費者にとっても「地元の特別な味」として新しい魅力が生まれ、競争が少ない独自の市場を築いたんです。

<ポイント>

  • 単独ではなく、全国の同業社と協力して市場創造を加速。

◆2. 地酒を広める第一歩:「試飲販売」で消費者に体験価値を提供

同社が手がけた「試飲販売」は、新市場を育てるための重要な施策でした。消費者に地酒の味を実際に試してもらう機会を設け、地酒の多様な魅力を知ってもらう場を提供しています。

それによって「日本酒にこんなに種類があるんだ!」という新鮮な驚きと発見が、地酒ファンの獲得に効果を発揮しています。

単に商品を売るだけでなく「味わう体験」を提供することで、市場に新たな価値が加わり、地酒が次第に人気を集めていきました。

<ポイント>

  • 「一度使ってもらえれば、、、」と嘆いているのではなく、自ら体験してもらう機会を提供する仕掛けを作る
  • モノを売らずに、体験を売る

◆3. 季節感を取り入れた「特別な体験」づくり:立春朝搾りの例

「一年52週の生活提案」として、季節ごとに地酒の楽しみを提案する取り組みを実施。その代表が「立春朝搾り」。

これは、春の訪れとともに搾ったお酒を当日に届けるというものです。「特別な体験」として消費者に強い印象を与え、「季節を楽しむ文化」として定着しています。

これにより、消費者はただの飲み物ではなく、「日本酒の季節感」を楽しむという新たな価値を見いだしているだけでなく、毎年訪れるイベントを作りだしています。

<ポイント>

  • 季節を楽しむ記念日、イベントを創り出し、文化として根付かせる
  • 毎年訪れるイベントを待ち望まれることで、安定した収益確保を実現する

◆5. 地域文化を守り、広める新しい価値

同社は、各地の地酒を通じて地域の文化や魅力を発信することで、消費者にとって地酒が「日本文化を楽しむ」機会となるようにしています。単なる「お酒」としてではなく、「地域の宝」として地酒を広めています。

つまりこれは、「地酒」という飲み物である商品価値を超えて、「地酒」を通じて消費者の価値観を書き換えているということです。

<ポイント>

  • 商品への価値観を変えることで、安定した需要を創り出す

◆まとめ:岡永の「地酒市場創造」に学ぶ「新市場創造」のヒント

同社の事例は、競争が激しい市場、衰退している産業で「新しい価値と独自の市場」を創る成功事例です。

社会にとって新たな価値を提供し、地域と一体となったネットワークの力で市場作りを続けることで、日本酒業界にはそれまでなかった「地酒市場」という需要を生み出すことに成功しました。

ですので、

とお悩みの方は、同社のように「自社の商品も、何か新しい市場や価値を作れないか?」考え、新たな市場を自ら創る方法を考えてみてください。

「既存の市場にこだわらず、新たな市場を生み出す」という発想が、大きな成功のカギとなることを、さまざまな業界の先駆者たちがすでに証明してくれています。

—マーケティングの力で新市場創造を

深井

投稿者プロフィール

深井宣光
深井宣光
価値づくり日本
価値づくり成長戦略プロデューサー

(株)バリューイノベーションジャパン
 新価値創造事業 CCO

一般社団法人SDGs支援機構 事務局長/経済産業省関東経済産業局のベンチャー支援事業サポーター/東京都スタートアップ支援事業「NexsTokyo」メンター/JーStuartup WESTサポーター等を務める。

社会課題をビジネスで解決する仕組みと成功法則の調査・研究者。各種メディア、企業でのSDGs/サステナブル企画の、企画・監修のほか、講演、執筆、社会課題解決型のスタートアップのメンタリングなど多岐に渡って活動。NHK WORLD JAPAN「未来計画Q」公式サポーティングパートナー、フジテレビ「チャギントンSDGs」シリーズの他、日本テレビ「ZIP!」、テレビ東京「秒でNEWS180」「美しき捨て方」等、各局のTV番組等を監修及び出演。Googleが世界規模で推進する「Humans of YouTube」にて、社会的・文化的・経済的に有意義な影響を与えた日本を代表する100人の一人に選出。著書に「小学生からのSDGs」(KADOKAWA)。「SDGsビジネスモデル図鑑・社会課題はビジネスチャンス」(KADOKAWA)がある

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