日本が誇る産業の1つバネ産業。

バネの歴史は古く、金属バネが日本に初めて誕生したのは、16世紀に種子島に火縄銃が伝来した際、火縄銃の引き金に使われていたのが始まりとされています。

それが今ではボールペンや洗濯機、洗濯バサミや懐中電灯だけでなく、パソコンやテレビなどのリモコンなど、私たちの生活のあらゆるところに使われるようになりました。

特に自動車業界では、エンジンやダンパー、ショックアブソーバーなど、あらゆる部分に使われており、1台の自動車に使われているバネの数は約4,000点以上ともいわれています。

また、ロケットや東京スカイツリー、新幹線にもバネは使われ、私たちの生活を陰から支えているバネ産業ですが、今、そんなバネ産業が苦境に立たされています。その理由の1つは、最終製品の需要減少です。

最終製品あってのバネ作り

バネに代表される金属スプリング業界の最大の顧客は自動車業界。ですがこの自動車業界は今、新型コロナウイルスの影響による工場の閉鎖や、半導体を初めとする部品不足、ウクライナ危機によるサプライチェーンの分断、また各自動車会社の認証試験不正などにより、昨年末より各社、継続的な減産となっています。

自動車1台あたりの部品点数3万点といわれるなか、1台の自動車に使われているバネの数は約4,000個。

自動車の減産は各製造業に大きな影響を与えましたが、特に影響が大きいのがバネ産業。

例え世界に誇る高度な技術を持っていたとしても、バネ単体では製品になることはなく、あくまで自動車という最終製品があって初めて需要が成り立つため、最終的な製品の需要が減少すれば、当然バネ市場での需要も少なくなってしまいます。

そんな苦境に立たされているバネ業界の中で、創業以来一度も赤字に陥ったことがないバネの会社があります。

創業以来一度も赤字に陥らないバネ会社の秘密

1934年、大阪で金属バネの会社として創業。1944年に東海バネ工業として法人化した東海バネ工業株式会社。

毎年、新規顧客は毎年100社、これまでに取り引きした顧客数は4,500社を超え、創業以来一度も赤字に陥ったことがないそうです。

一体なぜ、創業以来一度も赤字に陥ったことがないのか。その理由は、同社が創業以来掲げる「多品種微量生産」にあります。

国内に約3,000社以上存在すると言われている金属バネメーカーの約85%は、自動車、家電、情報通信などの量産品向けにバネを製造。

そんな中競合ひしめく中、後発で参入し市場シェアを荒らしてしまうと、瞬く間に潰されてしまうと感じ、先発メーカーが嫌がるような“ニッチ”にターゲットを当てました。

それが、単品で、手間がかかり、高精度が要求される特殊ばねをメインの事業とした「多品種微量生産」です。

手間がかかり高精度が要求されるような特殊バネの製造をメインの事業にした結果、今では東京スカイツリーや、H-ⅡAロケットにも採用されたり、工作機械や船舶、高層ビルなどにも使われる技術力を持つことが可能になった同社は、創業以来一度も赤字に陥ることなく成長。

さらに自社のバネの製造技術をデータベース化し、どのような分野のどのような要望にも対応できるバネメーカーとして成長を続けています。

このように市場の需要が減少していても、大手が目を向けないニッチ市場に目を向けることで成長を続ける企業は数多く存在します。

そんな「ニッチ市場」で、ものづくり企業が新たな価値を作り出すための方法を7月22日(月)、法政大学大学院教授・博士の井上善海先生にお伝えいただくセミナーを開催します。

募集は近日実施しますので、ぜひ7月22日(月)15時から空けておいてください。

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編集部

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