社会課題 人手不足 新規事業 深井宣光

「誰かいい人はいないだろうか…」

企業経営者同士の会話だけでなく、ビジネスをしていれば一度や2度どころではなく、頻繁に聞いたことがある言葉ではないでしょうか?否、ご自身が言ったこともあるのではないでしょうか?

そう、人手が足りない時。もっと言えば、自社にとって理想的な人がいない時にも思わずこぼれ出て口をついでは出てくる言葉です。

何度となく耳にしてきたことかわかりません。きっとこの記事をご覧頂いている皆様もそうだと思います。このことは、それほど、この人手不足という事態が蔓延化していることを表しています。

そして、この言葉の表す深刻さは、数字となって現れてきています。

もはや日本の危機「あきらめ廃業」とは?

”倒産ではないが、2023年に休業・廃業・解散した企業は5万9105件(個人事業主含む)あり、2019年以来4年ぶりに前年を上回った。このうち休廃業直前期の当期純損失が黒字だった企業は、全体の51.9%もあった。”

(引用:Yahoo! ニュース 賢者の選択 サクセッション)

そう。この黒字でも半数以上の企業が、後継者がいないことで事業継続を諦めるしかない、いわゆる「あきらめ廃業」をしていると言うのです。

120年の歴史を持つ町工場が廃業

先日のテレビニュースでもショッキングな事実が報道されていました。

明治37年創業、今や120年の歴史を持つ町工場が廃業するというニュースです。

その企業とは、松井ニット技研です。

アメリカのニューヨーク近代美術館で、5年連続売り上げ1位を記録したこともある、世界でも類を見ないたて編みの美しいニットを織り上げることができる技術を持った町工場です。

私達の日本には、後世に受け継いでいくべき技術、そして、本当にいい会社が地方の中小企業にこそ隠れていたりします。

ですが、そんな企業こそ、人手不足に陥り、後継者がいないことで姿を消していく。こんな未来は必ず変えなければいけないと思っています。

ニュースの中で同社の松井社長 はこう話されています。

”「製造には何でも技術が伴いますから、簡単にはできることじゃない。そういうことを知ってるから、無理に引き継いでいただくのは、疑問符がつくかなと思います。技術を習得するということ自体が、相当の根性がないとできない」  ”

テレ朝news

たしかに、無理に引き継げるものではないでしょう。ですが、きっと、その技術の習得が相当な根性を必要とするものであっても、働くのであれば他ではなく、同社でなければならないと飛んで来る方もいてはおかしくなかったのではないかと思うのです。

例えば今回のニュースのように、そこで仕事をしている人達の姿や想いをキャッチすることさえできていれば。

同社はもう少し後継者探しを続けられるとのことで、ひとまずホッとしていますが、万が一のことがあればいたたまれない気持ちです。

このような日本中のあらゆるところで蔓延している課題を解決し、本当に素晴らしい企業に、最高の人が集まり、再び日本に活気を取り戻していく。そんな未来を私たちは実現したいと、今真剣に考えています。

投稿者プロフィール

深井宣光
深井宣光
月刊『社会課題と新規事業』オープンイノベーションナビゲーター

一般社団法人SDGs支援機構 事務局長/経済産業省関東経済産業局のベンチャー支援事業サポーター/東京都スタートアップ支援事業「NexsTokyo」メンター/JーStuartup WESTサポーター等を務める。

社会課題をビジネスで解決する仕組みと成功法則の調査・研究者。各種メディア、企業でのSDGs/サステナブル企画の、企画・監修のほか、講演、執筆、社会課題解決型のスタートアップのメンタリングなど多岐に渡って活動。NHK WORLD JAPAN「未来計画Q」公式サポーティングパートナー、フジテレビ「チャギントンSDGs」シリーズの他、日本テレビ「ZIP!」、テレビ東京「秒でNEWS180」「美しき捨て方」等、各局のTV番組等を監修及び出演。Googleが世界規模で推進する「Humans of YouTube」にて、社会的・文化的・経済的に有意義な影響を与えた日本を代表する100人の一人に選出。著書に「小学生からのSDGs」(KADOKAWA)。「SDGsビジネスモデル図鑑・社会課題はビジネスチャンス」(KADOKAWA)がある

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