「失敗だと受け止めて欲しい」というコメントへの違和感と憤り

※画像はイメージです

今朝のニュースで、こう言い放たれた芸能人コメンテーター達に私は憤り覚えました。

※今日のこのメルマガは予定を変更してカイロスロケット打ち上げと潰される「新規事業」に共通する絶定法則について書いています。ですので、新規事業が立ち上がる前に潰れることなく、潰されずに立ち上げたい方はぜひ、続きをご覧ください。

中には、「楽しみにしていた子どもたちが残念がっていたので、成功して欲しかった…」「先日H3が成功したばかりなので、なおさら成功して欲しかった…」など、とにかく「失敗」と定義つけて、もっともらしくネガティブな話としてメディアは取り上げたがっています。

記者会見の席で、スペースワンの豊田正和社長は

「皆さまの期待に十分に応えらなかったことに対して深くおわびを申し上げます」

と期待に対するお詫びを述べながらも、

「スペースワンとしては失敗という言葉は使いません。なぜかと言うと、ひとつひとつの試みの中に新しいデータがあり、経験があり、それらが全て、今後の新しい挑戦へ向けての糧だと考えております。これが会社としての文化だと考えていただければありがたいです。私どもはこれで諦めるつもりは全くございません」

と明確に「失敗」という言葉は使っておらず、強い挑戦意欲を示しているのにも関わらずです。

人の不幸話は、多くの注目を集めるのにもってこいだとでも思っていることにもはや、コメントしている方々も気づいてすらいないのかも知れません。

素晴らしい技術と性能の証明

今回の打ち上げでは、わずか5秒で爆発したわけで、詳細の原因は現在対策本部を立ち上げて調査中とのことですが、これはロケットの異常を検知した際に、飛行中断処置を機器が判断し、被害を最小限に止めるために自爆させる機能が正常に働いたためだと見られています。

打ち上げから5秒後という即時に、異常を検知できたことで、低い高度の時点で爆発によって打ち上げを止めることができ、スペースワン社の敷地内だけで、落下物による影響も抑えられている旨も報道ではされていました。

この機能を正常に動作させるだけでも、どれだけの技術と叡智と試行錯誤が重ねられているでしょうか。

どれだけの覚悟を持って、このミッションに同社の皆様は挑戦されているでしょうか。

あえて言葉を荒げるのであれば、現場も知りもしない、出資しているわけでもないコメンテーターがこの挑戦を否定するようなコメントを軽々しく言い放ってほしくはない。

大衆心理を「失敗」に傾け、子どもたちにもあたかもこの打ち上げには「失敗」しかなかったかのような残念な誤解を与えて欲しくはない。

失敗して残念だったね。。。なんて話をしている大人の思考こそが「失敗」であり、アップデートする必要がある。

そして、「失敗しただろ!」と責め立て、心理的に追い込み潰すようなことはしないで頂きたい。と切に思っております。

では、なぜ、そして、どこにこのカイロスロケット打ち上げを「失敗」と定義づけたがるメディアと、潰される新規事業にはどんな絶対法則の共通点があるのか?

それは、、、

新規事業を潰す最大の敵は、社内にあり

新規事業が立ち上がることなく、終わりを迎えるのは、現場を知りもしない、直接実行してもいない、見てもいない賢い(と思っている)人たちであると、例えば、ラクスルやブティックなど数々の新規事業立ち上げを実現させている守屋実氏や、儲からないと言われている途上国など100カ国以上で、儲かる新規事業立ち上げを実現されているポリグルの小田兼利氏など、第一線で机上論ではなく、新規事業を立ち上げている方々は口を揃えて言われています。

そう、とにかく、ダメなところ探し、机上論でのダメ出し。担当者から上がってきたアイデアや計画の粗を探しては、あそこが駄目、ここが駄目の指摘。

実行して計画通りでなければ「失敗」を責め立て、理由を問い詰める。その結果現場の士気も下がり、アイデアも生まれなくなり、「ほらみたことか」とレッテルを貼られ終了。

新規事業が立ち上がることなく、クローズで終わるのは、とにかく賢い(と思っている)社内の上長や経営陣こそが、潰してしまっているということなのです。

全ての新しい成長事業は一発のトライで立ち上げることなく、トライアンドエラーを無数に繰り返し続けた結果、見事に立ち上げているにも関わらずです。

そう、つまりは、メディアと社内の違いはあっても、事業の立ち上げを潰そうとする側の思考や言動、行動は同じ。

だからこそ、新規事業の立ち上げを、社内の責任者の方に任せる側、そして、新規事業の立ち上げを遂行する開発担当者の方には、この絶対法則を急ぎお伝えしたく、今日は予定を変更してこの記事を取り急ぎ書かせて頂きました。

ストレートに立ち上げが成功する新規事業なんてない

社会課題から新しい成長事業を創り出すことには、これまでの市場にはありえなかった大きな機会と可能性があることは、すでに成長事業を立ち上げている数々の企業が証明してくれています。

しかし、それらは、何の苦労もせずに最初から市場の需要にフィットした事業にできたわけではありません。

どの事業も、他社が簡単に最初のワントライ程度で「失敗」だ。やっても駄目だ。と諦めていく中、トライアンドエラーを繰り返すたびに、市場にフィットした事業の精度を上げ続け、競合他社との争いのないブルーオーシャンで事業を展開することに成功されています。

メディアと大衆心理を反面教師に

ですので、「失敗」と定義して助長し、「成功」すれば持ち上げ盛り上がるメディアと大衆心理を反面教師に、ぜひ、社会課題から新しい成長事業を創り出すことにご一緒にトライして参りましょう。私たちはその挑戦を心より応援しております。

その糧となる情報をこれからも月刊『社会課題と新規事業』ではお届けし続けて参ります。

PS

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投稿者プロフィール

深井宣光
深井宣光
月刊『社会課題と新規事業』オープンイノベーションナビゲーター

一般社団法人SDGs支援機構 事務局長/経済産業省関東経済産業局のベンチャー支援事業サポーター/東京都スタートアップ支援事業「NexsTokyo」メンター/JーStuartup WESTサポーター等を務める。

社会課題をビジネスで解決する仕組みと成功法則の調査・研究者。各種メディア、企業でのSDGs/サステナブル企画の、企画・監修のほか、講演、執筆、社会課題解決型のスタートアップのメンタリングなど多岐に渡って活動。NHK WORLD JAPAN「未来計画Q」公式サポーティングパートナー、フジテレビ「チャギントンSDGs」シリーズの他、日本テレビ「ZIP!」、テレビ東京「秒でNEWS180」「美しき捨て方」等、各局のTV番組等を監修及び出演。Googleが世界規模で推進する「Humans of YouTube」にて、社会的・文化的・経済的に有意義な影響を与えた日本を代表する100人の一人に選出。著書に「小学生からのSDGs」(KADOKAWA)。「SDGsビジネスモデル図鑑・社会課題はビジネスチャンス」(KADOKAWA)がある

カイロスロケット打ち上げと潰される「新規事業」に共通する絶対法則” に対して2件のコメントがあります。

  1. 稲員重典 より:

    いい記事を読ませて頂きました。
    打ち上げがうまくいかなかった時、「ロケット開発は試験する度に大注目されて大変だな」と思いました。 こえからも継続して取り組んで頂きたいです。

    1. 深井宣光 より:

      稲員重典様 

      コメントを頂き誠にありがとうございます。

      本当にそうですね。すでに「私どもはこれで諦めるつもりは全くございません」と宣言されておられますが、引き続き様々な声に負けずに頑張って頂きたいと思います。

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