新規事業 社会課題 SDGs 深井宣光

本日は、このお話しを共有させて頂くと、「なるほど!確かに」とこれまで思い込んでいた社会課題への見え方が変わり、様々な成長企業からアイデアやヒントを掴むきっかけとなられる方の多いお話をこの記事をご覧に皆様にも共有させて頂きます。

そのお話しとは、本日の表題の通り「成長企業がやっている事業創りの秘密」について。

社会課題というと、途上国で月1ドルで暮らす貧しい人たち、飢餓に苦しむアフリカの子どもたち、食品ロス、気候変動、流氷の上に乗ったホッキョクグマ…のような、昔から言われているものや、誰もがそれは社会課題です。と言っているものだと思われがちです。

これは、TVなどのマスメディアやネット記事が「社会課題」と名札をつけて取り上げているものが、今ほど上げたような、数十年前から言われているザ・社会課題なものに偏っているせいもあるでしょう。

ですが、誰もが知っているほどに成長している企業は、成長するべくして社会課題を捉えていました。

それは、どういうことか?それは、上記のような昔から言われている社会課題だけが社会課題だという固定概念に囚われることなく、

時代と共に変化し続けていて「社会に存在しているのに解決されていない課題」に目を向けているということです。

つまりは、需要があるのに供給が足りていなかったところに、解決策を供給した結果として、課題を抱えていた人たちに求められ事業が成長しています。

例えば、それはこんな↓企業です。

売上98%減からのV字回復で年商333億円達成!『エクスコムグローバル』

「イモトのWiFi」を手がけるエクスコムグローバル(株)は、コロナ以前は87億の売上があったものの、コロナによって海外旅行者がいなくなったことで一瞬にして売上ほぼゼロになり、手持ちのキャッシュで持ち堪えられるのは残り数ヶ月の倒産危機に…

しかし、その時目をつけたのが、コロナに罹患しているかどうかを検査する「PCR検査キット」を簡単に受けられる手段がない…という当時、日本全国で起きていた課題です。

そこで、感染症検査など全くの専門外であったにも関わらず、どこよりも早くたった1ヶ月でこの社会課題から「PCR検査事業」を新規事業として立ち上げたことで…

わずか1年で売上177億円の超V字逆転を実現!そしてさらに2022年6月に、またもや社会課題から新規事業として立ち上げたのが、少子高齢化課題を解決するための不妊治療クリニック。このように、次々に新規事業を社会課題から立ち上げています。

その結果、現在1日の売上1億円、年商333億円を突破されています。

月間ユーザー2,200万人超!フリマアプリシェア国内No.1で年商1720億円『メルカリ』

これまでYahoo!オークションなどの、個人売買には無縁だった女性や若年層までにも支持されていることが取り上げられていることが多いですが、実は、60代以上の世代にも大きく支持されており、その取引量は20代の2倍。幅広い年代に支持されていることがわかります。(同社プレスリリースより)

これらの理由には、スマホだけでも簡単に使用できたり、個人情報を開示しなくても取引ができる安全安心性もあるでしょう。ですが、それはあくまで表面的な理由で、ユーザーは商品・サービスを利用する時、購入する時、そのものが欲しいわけではなく、得たい結果=課題を解決したくてお金を払って利用したり、購入しています。

では、ユーザーはどんな課題解決を求めてメルカリを使っているのか?そして、その結果メルカリは成長しているのか?

同社のHPを見てみると、持続的な事業成長に欠かせない重要課題として真っ先にみてとれるのが、「欲しいものを買うことができない」「収入を増やすことができない」という『個人と社会のエンパワーメント』と題して同社が掲げている課題解決です。同社のサービスを通じて、このような結果をユーザーは手に入れています。

「自分の状況(怪我 / 病気 / 障がいがある / 妊娠中 / 介護中など)に関わらず欲しいものが買えるようになった」方は52.6%

「自分がどこに住んでいるかに関わらず欲しい物が買えるようになった」方は65.4%

「新たな収入源を得ることができた」方は51.2%

(「」内文章と%の数値は同社公式HPより引用)

これらの課題に対して解決策を持っていなかった方にとってメルカリは、まさにユーザーの生活にとって欠かせないインフラ的サービスとして使われており、

事実、私の子どものお友達のお宅でも、メルカリでいらなくなったものを売れたおかげで、家族のスマホを買ってあげられた、これまで行けなかった旅行に行けたと喜んでお話しされているだけでなく、継続してつかわれています。

そんな同社アプリのサービス継続利用率は79.9%と高く、直近では前年同期比17%増の1720億円という過去最高記録の売上をあげています。

現在日本人の平均所得は30年間もの長期にわたって増えていないところに、相次ぐ光熱費や物価の上昇で1家庭(2人家庭)あたりでも8万6462円の年間支出が増加。このままでは実質的に使えるお金は、益々減っていく一方にあるという予測もされており、益々インフラ的サービスとして需要が高まっていくことでしょう。

社会課題をアップデートすることで事業の種がみつかる

このように成長企業の商品、サービスを紐解いてみると、表面的にみていたときには気づかなかった、選ばれている理由、解決している課題、ユーザーがお金を払ってでも解決したい課題と事業の種がみえてきます。

今、現代で起きているのに、解決されていない課題はそのほとんどが知られていなかったり、認識できていない人、事業機会として着目できていない企業がほとんどなため、そこに気づいた極一部の企業が今日ご紹介した企業のように、事業機会を掴んでいます。

例えば、各業種、業界で当たり前とされてきた、商慣習や非効率な工程などは、一度は現場の誰もがおかしいと思ったことがあっても、解決を諦められているケースが多いため、潜在的な需要の宝庫ともいえます。

ぜひ、知っている成長企業の事業はなぜ、うまくいっているのか?もうかっているのか?掘り下げてみてみてください。

その商品・サービスをお金を払ってでも使いたい、ユーザーも表では言っていない本当の理由=解決したい課題から、新しい成長事業創りの種をみつけて頂けることでしょう。

ぜひ皆様の発見も、メルマガへの返信などで随時共有して頂けると嬉しいです。

それでは、またメールさせて頂きます。

ー深井

PS

この企業はどんな課題が事業の種になっていると思われるでしょうか?などの紐解きのリクエストや、テーマとしてリクエストしたい業界などがありましたら、そちらもぜひ教えてください。

随時お取上げできればと思います。

投稿者プロフィール

深井宣光
深井宣光
月刊『社会課題と新規事業』オープンイノベーションナビゲーター

一般社団法人SDGs支援機構 事務局長/経済産業省関東経済産業局のベンチャー支援事業サポーター/東京都スタートアップ支援事業「NexsTokyo」メンター/JーStuartup WESTサポーター等を務める。

社会課題をビジネスで解決する仕組みと成功法則の調査・研究者。各種メディア、企業でのSDGs/サステナブル企画の、企画・監修のほか、講演、執筆、社会課題解決型のスタートアップのメンタリングなど多岐に渡って活動。NHK WORLD JAPAN「未来計画Q」公式サポーティングパートナー、フジテレビ「チャギントンSDGs」シリーズの他、日本テレビ「ZIP!」、テレビ東京「秒でNEWS180」「美しき捨て方」等、各局のTV番組等を監修及び出演。Googleが世界規模で推進する「Humans of YouTube」にて、社会的・文化的・経済的に有意義な影響を与えた日本を代表する100人の一人に選出。著書に「小学生からのSDGs」(KADOKAWA)。「SDGsビジネスモデル図鑑・社会課題はビジネスチャンス」(KADOKAWA)がある

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